水草 と 肥料

多量必須元素

 元   素  欠乏症状  はたらき
 窒素(N) 葉緑素の生成が阻害され茎は細くなり下位の葉の黄化が目立つ 植物の体を構成するタンパク質(アミノ酸)や酵素タンパクなどの重要な成分となる。
 リン酸(P) 葉の光沢が悪くなる 細胞膜を形成するリン脂質、遺伝情報をつかさどるDNA/RNA、生体内エネルギー(ATP)の重要な成分
 カリ(K) リンの欠乏と同様に葉の周辺部が黄化する イオンとして機能し、体内の浸透圧調整にかかわる
カルシウム(Ca) 葉の先端が白化し徐々に枯れる。新しい葉から症状があらわれてくる。 体内での移動が少なく植物の種類により要求量の差は大きく生体膜の重要な成分であり、膜の浸透性の調節にかかわる。
 マグネシウム(Mg) 古い葉から現れ葉脈間の黄化など 植物の光合成において極めて重要な元素

微量必須元素

 元   素  欠乏症状  はたらき
 (Fe) 葉や葉脈間の白化・黄化が見られ、新芽に特に多くあらわれる 水槽内には三価鉄(Fe3+)としては多く存在するが、水草が吸収利用できるのは不安定な二価鉄(Fe2+)であるため不足している。
呼吸や光合成反応にかかわる物質や酵素の成分とし
て重要な元素
 マンガン(Mn) 新しい葉の葉脈間の黄化や葉の小型化 葉緑体の構造と光合成の酸素発生にかかわる元素
 モリブデン(Mb) 葉が内側に向かってねじれる 体内の硝酸還元酵素とよばれる酵素の構成元素として必要
 ホウ素(B) 茎の成長点の細胞が壊死し成長が止まる さまざまな生理作用にかかわる
 (Cu) 葉先から黄白化し、しおれやすくなる 呼吸や光合成反応で活躍するある種のタンパク質成分

水草用としては「肥料」という名前では市販されていません。なぜならば肥料と表示するには農林水産省の許可が必要となり、ラベルに成分を表示しなくてはならないからです。このように明確な表示がされていない状況では、残念ながら私たちの意志で供給したい元素を選択して施肥することができないのが現実です。 

液体肥料と固形肥料

液体肥料 水槽内に投入する肥料で最も一般的に使用されています。速効性で効果は早いのですが、適量を間違えるとコケの大発生となります。 通常は1週間に1度の水換え時に適量を入れるのが普通ですが、むやみに入れることはなく、水草の状態をよく見極めた上で使用します。
水草の状態が悪いとかいってただちに肥料を投入するのではなく、頻繁に水換えを繰り返したのち、様子を見てからでも遅くはありません。
固形肥料 最初のセッティングの時に水槽の底にあらかじめ敷いておく方法が一般的です。
この種のほとんどは根から吸収させる遅効性肥料が多いようです。
底面フィルター(水草育成には不適)には適しません。また、砂中に埋め込んで随時不足分を補うスティックタイプもあります。固形タイプの肥料は砂の中に埋め込んでしまうのでコケの発生が少ないので安心です。ただし、水換えのときに無造作に水を入れると肥料をまき上げてしまうので注意が必要です。